外壁塗装リフォームを検討する際には、契約前に必ず業者から見積もりを提出してもらうことになります。
しかし、依頼する側にとっては見積もりに記載された外壁塗装の費用が妥当かどうかわかりにくいという問題があります。
そこで、まず外壁塗装のおおまかな「費用相場」を知っておけば、提出された見積書が適正かどうかを簡単にチェックできるようになります。
外壁塗装の主な内訳は塗料代と足場代と人件費
外壁塗装の見積書は細かな項目に分けられていて専門用語も多いためわかりにくく感じられますが、見積書はシンプルに
という3種類の費用に分けて考えることができます。
残りの費用は、その他の諸経費やアフターサービスのための費用、利益分などです。
どんな業種でも、見積もりはたいていの場合「単価×数量」が基準になりますよね。建築塗装の見積もりでは、この「数量」を「面積」に置き換えて計算することが多いのです。
例えば、下のような数式を覚えておけば大まかな費用を予測でき、予算の計画を立てやすくなります。
でも、聞きなれない単語が多く、わかりにくく思える方も多いかもしれません。
それでこの記事では、外壁塗装にかかるお金をカンタンに理解するための「単価」と「面積」、そして塗装工事の費用相場についてご紹介したいと思います。
覚えておきたい「住まい」の基礎知識
見積もりの詳しい説明を始める前に、まずは住まいについて、知っておきたい基礎知識をカンタンに理解しておきましょう。
「建坪」と「延べ床面積」は別モノ!
外壁塗装の見積もりは「面積」が基準になりますが、住宅にはいろいろな種類の面積が存在します。
例えば、ネット上の記事でも混同されることが多いのが「建築面積(建坪)」と「延べ床面積」。
詳細を省いてカンタンに説明すると、
と説明できます。
なので、吹き抜けなどがない総二階建て住宅なら『建築面積 × 2 ≒ 延べ床面積』になります。まあ、厳密にはそう簡単でもないのですが、一般的な基礎知識としてはこれで十分です。
そして、屋根・外壁塗装の見積もりの算出には、建坪よりも延べ床面積の方をよく使います。
「延べ床面積」は塗装面積算出の基準として使える
なぜ床の塗装なんてしないのに「延べ床面積」を理解しておかなければならないのか、疑問かもしれませんね。
でも塗装する屋根・外壁の面積も、実は延べ床面積に比例しているんです。
多くの場合、延べ床面積 × 1.2 ~ 1.4と計算した数値が、外壁の塗装面積の近似値になります。
もちろん、これは外壁塗装をしたい人が大まかな費用を計算する時の式で、塗装業者が見積もりを出す際にはきちんと実寸を計測して計算しますのでご安心ください。
戸建て住宅の延べ床面積は「30坪」を基準にするとわかりやすい
国土交通省が提供する「令和2年度 住宅経済関連データ」によると、関東臨海地区にある持ち家の延べ床面積の平均は「およそ100㎡」です。(全国平均は約120㎡)
1坪 ≒ 3.3㎡なので、100㎡ ÷ 3.3 ≒ 30と計算すると、関東地方に持ち家の住宅がある場合、延べ床面積は「30坪」が平均的というわけです。
それで、見積もりの概算を行うときには、平均的でわかりやすい基準として「30坪」という数字がよく使われるのです。
ちなみに「1坪」とは畳2枚分の面積を指します。一般的な畳のサイズは1.82 × 0.91なので、1坪は1.82 × 0.91 × 2で約3.3㎡と計算されます。
「30坪」基準で大まかに塗装費用を計算してみよう!
では、塗装する物件の条件を、
と仮定する場合、費用がどうなるかざっくり計算して見ると…
となります。
人件費については、面積ではなく主に工期の日数や必要な人数(人工(にんく)と言ったりします)に基づいて計算しますが、30坪の規模の物件では約25~30万円が相場ではないでしょうか。
これらの費用相場に諸経費などを合算すると、80~100万円という見積もりの相場が見えてきましたね。
ここまでは細かな点を省略してカンタンにご説明しましたが、ここからはもう少し詳しく掘り下げて、
という外壁塗装費用に含まれる、主な項目ごとの費用の計算方法や基準などをご説明していきましょう。
建物の規模で大きく変わる足場設置費用
外壁塗装工事でまず設置される架設足場の費用を計算する上で基準になるのが「足場の総延長 × 高さ」で算出される「足場架け面積」です。
わかりやすく縦5.5m、横9mで長方形の建築面積49.5平方メートル(延べ床面積約30坪)の総2階住宅の例で考えてみましょう。
この場合、建物の外周は5.5 × 2 + 9 × 2となりますが、
足場は外壁から0.5m離して設置するため各辺は1mずつ長くなり、
(5.5 + 1) × 2 + (9 + 1) × 2 = 33 で、足場の総延長は33mになります。
一般的な2階建ての外壁塗装であれば足場の高さは6.5mほど必要になるため、
33 × 6.5 = 214.5で、214.5平方メートルがこの場合の足場架け面積となります。
足場の単価は800~1,000円位が相場なので、
延床面積30坪の2階建て住宅なら足場費用は17万~21万円くらいがおよその相場となります。
この「足場架け面積」は建物の平面形状がシンプル(単純な四角形に近い形状)であるほど小さく、複雑であるほど大きくなるため、延べ床面積が比較的狭くても、建物が複雑な形状をしていれば足場代は相場よりも幾分高くなる傾向にあります。
また建物の形状によって、塗装を行う際に屋根の上にも追加の足場を設置しなければならないケースもあり、その足場も費用に加算されます。
足場の種類によっても足場代の相場は変わる
一言で「仮設足場」と言ってもいくつかの種類があり、足場の種類によって下記のように単価相場が変わってきます。
- 主に金属製のパイプを組み合わせただけの簡易的な足場です。スペースに余裕がない場所に足場を組む際に使いますが、塗装工事の作業性はあまりよくありません。
- 上記のパイプを骨組みとし、作業しやすいように通路として金属製の道板(足場板)を設置したものです。単管足場よりは塗装作業がしやすくなります。
- クサビ緊結式足場:相場価格およそ800~1,000円/㎡
- 「ビケ足場」の名称でも知られる、おそらく最も一般的な足場です。クサビ状のブラケットをハンマーで打ち込んで固定するタイプの足場で、塗装作業がしやすく、設置・解体も簡単です。
足場を自社で設置できる塗装業者は総工費を相場より安くできる可能性あり!
足場はあくまで仮設で工事が終われば撤去してしまうものですが、上で説明した通り1回の工事で16万~20万円ほどと、なかなか高額になります。初めて外壁塗装工事を行う多くの施主様が初めは少しびっくりされるかもしれません。
「足場の架設とはそんなものだ」と言ってしまえばそれまでですが、この足場架設工事を外注せずに自社で行える塗装業者であれば、足場代を少し抑えてもらうことができるかもしれません。
くりはら塗装には、高さが5メートルを超える足場を設置する際に必要な「足場の組み立て等作業主任者」が在籍していますので、施主様のご予算に応じて外注を使わず自分たちで行うこともあります。
この「足場の組み立て等作業主任者」という有資格者がいれば、3階建を含むほとんどの戸建て住宅で足場を外注に頼らず設置することが可能ですので、足場代を抑えたいという場合にも気軽にご相談ください。
塗装する外壁の面積と塗料の種類で決まる塗料費用
塗料代は「塗装面積」と塗料の単価を基準にして計算されます。
塗装面積とは外壁の面積から窓やドアなどの塗装しない部分を差し引いた面積のことで、延べ床面積の1.2~1.4倍がおよその塗装面積となり、延床面積30坪の一戸建て物件であれば塗装面積はおよそ120〜140平方メートルとなります。
いったん塗装面積を120㎡と仮定し、現在人気のあるグレードの塗料単価と併せて大まかに試算すると、塗料代のおおまかな相場はこのようになります。
- 120平方メートルなら塗料費用約20~26万円
- 120平方メートルなら塗料費用約27~36万円
- 120平方メートルなら塗料費用約45~54万円
繰り返しになりますが、見積書を作成する際には業者がきちんと塗装面積を現場で計測し、正確な数値を算出します。
値段は塗料のクオリティーを知るためのバロメーターになる
この塗料費も可能な限りは抑えたいと思われるところでしょう。しかしながら、外壁塗装における塗料のクオリティーは、ほとんど値段に比例するということも覚えておかなければなりません。
つまり、塗料を安いものにすればそれだけ耐用年数や美観の質が下がってしまうということです。
さらに少し説明すると、例えば同じ「シリコン塗料」に属する塗料であっても、塗料の質を左右する「シリコン含有量」が何パーセントかはカタログにもパッケージにも記載されていません。実は塗装業者にもわからないのです。
それで、信頼できる塗料メーカーの製品を使うという前提で考えると、同じシリコン塗料でも値段の安い塗料はそれだけシリコン含有率が低く、耐用年数も短くなってしまうと考えられます。この原則はシリコン塗料だけでなく、およそどんなタイプの塗料にも大抵あてはまります。
私たち塗装業者は、どんな塗料でもその性能が最大限に発揮されるよう丁寧に塗装していますが、塗料を選ぶ時は、安価な塗料を選べば全体の仕上がりのクオリティーも下がってしまうということを覚えておきましょう。
もちろん、くりはら塗装では予算内で施主様のご要望にかなう最善の塗料をご提案させていただいています。
職人の技術料も含まれる施工費用
人件費は外壁塗装の費用に含まれる重要な部分ですが、実際のところほとんどの見積書に「人件費」という項目があるわけではありません。
これは主に塗料やシーリング材などの工事で消耗する材料費には含まれていない費用で、いわば塗装における技術料や工賃とも言える費用であり、「高圧洗浄」「ケレン作業」「現場管理費」といった材料を消耗するわけではないが作業に技術と時間を要するさまざまな工程の費用として見積書に現れています。
見積書の記載内容から「この見積もり金額のうち、人件費は総額○○万円」という具体的な費用は見えませんが、
建坪30坪の物件の外壁塗装であれば、人件費は約25~30万円が相場価格と言えるでしょう。
この記事で考えてきた費用相場を合計してみると、
延床面積30坪程度の物件の外壁塗装は、多少の建物の形状や立地条件の違いなどを考慮に入れても約80万~100万円になります。
もちろん、外壁塗装の相場は
などのさまざまな条件に左右されますが、この記事で考えた外壁塗装のおおよその相場を業者から提出された見積書を検討する際にぜひ活用してみてください。
上記の価格はあくまでも一般的な外壁塗装の相場感になります。
栗原塗装工業の場合は、自社施工となりますので、お見積りはもう少し安く提示できると思います。