2023.12.15

外壁塗装の時期の目安は? 外壁の耐用年数や寿命を知ろう

持ち家に住んでいたり、アパートのオーナーであったりするなら、所有する建物の外壁塗装メンテナンスの適切なタイミングを図ることには、

  • 前もって予算を積み立てておく
  • 無駄な出費を避ける
  • 建物の資産価値を保持する

といった、重要な意味があります。

この記事では、外壁塗装メンテナンスをベストなタイミングで行うために大切な、建物と塗料という2種類の「耐用年数」に関する知識をご紹介します。

そもそも外壁塗装における「耐用年数」とは?

そもそも外壁塗装における「耐用年数」とは?

外壁における「耐用年数」とは、別の言い方をすれば、「外壁材や塗装が建物を保護する力を保持できる期間」です。
つまり、耐用年数を超えた外壁は建物を雨や湿気などによるダメージから保護できなくなり、カビ・サビ・腐食などの症状が建物内部に進行する可能性が高まります。

耐用年数が近くなり、劣化が進んだ外壁には

  • チョーキング現象(塗膜の表面が分解されチョークの粉のようになる現象)
  • クラック(大小のひび割れ)
  • 塗膜の剥がれや膨れ
  • (塗料の色によっては)色あせ

といった、塗膜の保護力が低下しているサインが表れるようになります。

外壁塗装の「耐用年数」=「品質保証期間」ではない

外壁塗装が十分な耐久力を発揮するは「適切な塗装工事を行うこと」が重要な前提になります。
つまり、

  • 下地の洗浄や適切な処理が行われなかった
  • 気温が低すぎる・湿度が高すぎるといった不適切な環境下で塗装された
  • 下塗りが十分乾燥する前に上塗りを行った

などの施工不良があった場合、耐用年数内でも(早ければ1〜2年で)塗装がひどく劣化してしまうことがあります。

外壁塗装を長持ちさせるためには、施工業者も慎重に選ぶようにしましょう。

「建物」の耐用年数を知っておこう

建物の耐用年数に関しては、国税庁もひとつの基準を明示しています。
「なぜ国土交通省ではなく国税庁が?」と疑問に思われる方もおられるかもしれませんね。

実は、国税庁が提示している耐用年数は、正式には「減価償却資産の耐用年数」というもので、わかりやすく言えば「建ててからこのくらいの年数で、建物は価値がなくなりますよ」という基準を示しているものなのです。つまり、この国税局の「耐用年数」は税金の計算や不動産の売買などの際に参照にされるものですが、建物の長期的なメンテナンスを計画する上でも参考になるため、覚えておくと役に立つでしょう。

国税局による耐用年数の基準

国税局は建築方式や外壁材の種類に応じて、法定耐用年数を下記のように設定しています。

建物材の耐用年数の目安(住宅用)

木造・合成樹脂造22年
木骨モルタル造20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47年
れんが造・石造・ブロック造38年
金属造19~34年

金属造のものは、骨格材の大きさによって耐用年数が異なります。こうしてみてみると鉄筋・鉄骨・レンガ・石造のものが耐久性が高いことがわかりますね。

これらの耐用年数はあくまで目安であり、良い状態で保ってこの年数になります。定期的にメンテナンスを行っていなければ、もっと早く修繕が必要になるので注意しましょう。

外壁材の耐用年数の目安

タイル材・サイディングボード系40年
モルタル壁30年
ALC60年
コンクリート壁60~100年

サイディングボード

一般的に「サイディング」と呼ばれている種類の外壁は、正式には「窯業系サイディングボード 」といいます。

窯業系サイディングには

  • 焼成しているため、耐火性能が高い
  • 断熱性が高い
  • デザインの自由度が高い

といったメリットがあります。

タイル壁

タイルには大きく分けて磁器質・せっ器・陶器質の3種類がありますが、一般的に外壁には磁気質・せっ器質のタイルが、内装には陶器質のタイルが使用されます。

タイル外壁の

  • 硬質で頑丈
  • 基本的に塗装は不要

というメリットにより耐用年数が長い点は非常に魅力がありますが、木造住宅をタイル外壁とする場合には、

  • 柔軟な木材に対してタイルは硬質すぎるのでひび割れが生じやすい
  • 木材に対してタイルが重すぎるため耐久性が下がる

などのデメリットによるダメージで、耐用年数内でもトラブルが発生することもあります。
ただし、木造でもタイル張りを前提とした構造であれば、タイル張りのデメリットを抑えることも可能になっているようです。

モルタル壁

モルタル壁はデザインの自由度が最も高く、目地も必要ないため今も根強い人気があります。

ただし、ひび割れが生じやすいという大きなデメリットもあり、他の外壁材と比較しても耐用年数は長くありません。
モルタル外壁ではひび割れは多かれ少なかれ必ず生じると考えておいた方が良いでしょう。
モルタル外壁のメンテナンスを考えるときには、ひび割れを少なく抑え、ひび割れが発生しても目立たなくするよう適切な塗装方法を選ぶことが大切です。

ALC

ALCとは「軽量発泡コンクリート」のことで、セメントを原料としながらも全体の空洞率を上げることで軽量化した素材です。
外壁に使用するALCはパネル状になっているため「ALCパネル」ともいわれます。

長い耐用年数を誇るALCは、

  • 耐久性が高い
  • 遮音性が高い
  • 耐火・断熱性能が高い

という多くのメリットがありますが、費用がかなり高額(窯業系サイディングの2倍か、それ以上)になるため、一般的な住宅では今のところあまり普及していません。

コンクリート壁

コンクリートの外壁は木造住宅で採用されることはまず無く、RC(鉄筋コンクリート)造の建物の外壁にほぼ限定されます。
耐用年数ではトップクラスですが、十分な耐久性を発揮するには、もちろん建築基準法にしたがって適切に施行されていることが大前提です。

また、コンクリート壁では無塗装のいわゆる「打ち放し」が人気ですが、無塗装のコンクリートは藻やコケが発生しやすいので、湿気が多く日当たりの悪い場合は、気をつけましょう。

各外壁材の耐用年数はそれぞれ十分な長さがありますが、タイル材以外は、どれも7年~15年程で定期的なメンテナンスが必要となります。タイル材も簡単な掃除を心がけることで、汚れが原因となる腐敗を防ぐことができます。

建築材、外壁材いずれの耐用年数も、適切に施工されていること適切にメンテナンスされていることが前提になっていると考えておきましょう。
ちなみに、これらの耐用年数は、建材の品質や建築技術の向上に合わせて、見直しが行われる事もあります。

「塗料」の基本的な耐用年数を確認しておこう

外壁用の塗料には様々なグレードがあり、耐用年数もおよそグレードごとに異なっています。
現在外壁塗装に使われる塗料の耐用年数や特徴は下記のようになっています。

アクリル系塗料(耐用年数:4~7年)

塗料

アクリル系塗料は最も安価なグレードの塗料で、その分耐用年数も長くありません。最近では外壁塗装リフォーム工事でアクリル系塗料が選択されることはほとんどありませんが、格安住宅などでは現在でも使用されていることが多いようです。

もし最近比較的安い価格で住宅を購入したのであれば、外壁にどんな塗料が使用されているのか確認してみると良いかもしれません。
使用されているのがアクリル系塗料であれば、近々外壁塗装リフォームが必要になるかもしれません。

ウレタン系塗料(耐用年数:6~10年)

ウレタン系塗料は価格の安さに比べて耐久性が高くコストパフォーマンスも悪くない塗料です。

人気の高さではシリコン系塗料に軍配が上がりますが、多くの外壁塗装業者で最安グレードとしてラインナップされ、現在でも人気があります。
汚れや色あせに強く、施工もしやすい塗料です。

シリコン系塗料(耐用年数:8~15年)

シリコン系塗料は、汚れ・カビ・藻など、外壁を劣化させる様々な要因に対して高い耐久力を発揮する優秀な塗料です。

コストパフォーマンスが非常に高く、多くの外壁塗装業者でスタンダードなグレードとしてラインナップされています。
シリコン系塗料が外壁塗装の主流になり始めた2015年ごろと比較しても価格は落ち着いてきており、まだまだ高い人気は持続しそうです。

ラジカル系塗料(耐用年数:8~15年)

ラジカル系塗料の正式名称は「ラジカル制御型塗料」といいます。
塗膜が紫外線にさらされると発生して塗膜を劣化させる「ラジカル」という物質の影響を抑える性能があり、耐用年数も長い塗料です。

光触媒塗料(耐用年数:10~15年)

光触媒塗料は、太陽光に含まれる紫外線の作用で塗膜に付着した汚れが分解され、雨で流されやすくするという特殊な機能を持つ塗料です。
比較的高級なグレードの塗料になりますが、付着した汚れによるカビや藻などの劣化が進みにくく、美観も耐久性も長持ちします。

ピュアアクリル塗料(耐用年数:10~15年)

ピュアアクリル塗料は、その名の通り高純度のアクリルを主原料とする塗料で、防水性や弾性に優れており、コンクリートやモルタルに塗装すればクラックを強力にカバーできます。

耐用年数もカタログ値で15年程度と長いですが、このピュアアクリル塗料は主に海外メーカー一社のみが生産しており、日本の大手メーカーでは生産されていません。
施工費用が高額になる事もあってか施工事例も今のところ多くなく、ピュアアクリル塗料の真価は未知数です。

フッ素系塗料 (耐用年数:15~20年)

フッ素系塗料はとにかく強固でトップクラスの耐用年数を誇ります。

優れた耐久力ではあるものの非常に高額であったため、滅多に塗装工事を行えない高層建築などで主に使用されていた塗料ですが、近年では価格もやや下がってきており、一般住宅用のフッ素塗料もラインナップされるようになりました。

美しい光沢感が長く続き、汚れも付着しにくいのが特徴です。

遮熱系塗料 (耐用年数:15~20年)

遮熱系塗料には、日光を反射させて外壁表面に熱が発生しにくくするという機能があります。

塗料としては高額なグレードになりますが、遮熱系塗料で塗装すると住宅全体の熱効率の向上も期待できるため、コストパフォーマンスの良し悪しは総合的に判断する必要があります。

この遮熱系塗料は都市全体として考えたときのヒートアイランド現象を緩和する効果も期待されており、地方自治体によっては助成金制度の対象になる可能性があります。

外壁材と塗料の耐用年数から考える塗り替えの時期

外壁材の耐用年数は、メンテナンスを計画する上での参考情報として役に立ちますが、それだけを頼りにしてしまうことにはリスクもあります。

例えば、耐用年数が長い外壁材にグレードの高い塗料を塗った外壁でも、

  • 日当たりが悪い、水気が多いなど立地条件が悪い
  • 塗装を行った業者の施工方法に不備があった
  • 浸水などの被害に遭った

といった場合には、外壁材・塗料の耐用年数内でも劣化が早く進むこともあります。

塗り替えの適切なタイミングを見極めるために、年に1度でも良いので、外壁周りに何か問題が起きていないか簡単にセルフチェックしてみましょう。
そして、雨漏り、ひび割れ、カビや藻の発生など、小さな問題でも見つけたらすぐに対応することが大切です。

塗り替えのタイミングを図る一つの目安は10年といわれています。
それで、前回の塗装(新築の場合は竣工)から10年以上が経過しているなら特に、しっかりと外壁の状態を確認してみる事をオススメします。

塗料選びはグレードだけで判断せず、プロに相談を

外壁塗装のプロ

塗料は同一グレードであれば、品質・耐用年数はどれも同じ、というわけではありません。
同じグレードに属する塗料であっても主成分(ウレタンやシリコンなど)の含有率が低ければ、品質は低く、耐用年数は短くなります。

例えば、シリコン塗料はウレタン塗料より上位のグレードになりますが、含有率の低いシリコン系塗料よりは含有率の高いウレタン塗料の方が、耐用年数が長い可能性があります。

しかしながら、主成分の含有率はパッケージに記載されているわけではなく、業者にも消費者にも知る術はありません。
そこで、信頼できるメーカーの製品なら、「価格が高い=主成分の含有率も高い=耐用年数も長い」というふうに、ある程度の耐用年数の長短の判断を行なっています。

加えて重要なのが、「塗装業者としての経験値」です。

何十年も塗装業者を行っていると、どんな塗料だとクレームが少なく、次の塗装まで長持ちしているかが見えてきます。
何百件もの塗装工事を行ってきた当店であれば、お客様の予算内に収まる最適な塗料を、高度な施工品質でお届けすることができます。
塗料選びの際にはぜひ遠慮なくプロである私たちにご相談ください。

まとめ

外壁塗装工事は安く上がるものではありませんから、注ぎ込む費用に十分に見合う効果を期待したいものです。
建物としての価値を保ち、最初よりも美しく強い家にする事もできるのが外壁塗装工事の魅力です。

ここでご紹介した情報が、皆様にとって外壁メンテナンスの良い計画の一助になるよう、また、十分に満足できる外壁塗装工事につながるよう、心から願っています。

外壁塗装の時期や塗料など、塗装について分からないことがあれば、くりはら塗装までお気軽にお問い合わせください。

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