
以前に比べて資材や道具が誰でも入手しやすくなり、YouTubeなどでプロのレクチャーを大量に視聴できるようになった今、DIYがブームになっているのもうなずけます。
もしかすると外壁塗装リフォームもDIYで安く済ませたい!とお考えの方も多いかもしれません。そこで今回は、
- DIYで外壁塗装リフォームが可能か?
- 外壁塗装をDIYでできるかプロに頼んだ方がよいかの判断ポイント
についてご説明します。
DIYが可能なサイディングボードの状態とDIYの準備

サイディングボードの塗り替えは、費用を抑えたい方にとってDIYが魅力的に感じられるかもしれません。
しかし、外壁の状態によってはDIYが適している場合とそうでない場合があります。
ここでは、サイディングボードの劣化状態を5つのレベルに分け、それぞれに必要な準備について解説します。DIYが可能かどうかを見極めることが成功への第一歩です。
劣化レベル1:外壁塗装に色あせがみられる
色あせは、サイディングボードが太陽光や雨風にさらされることで起こります。
特に経年劣化によって発生しやすく、見た目に鮮やかさが失われている場合を指します。
この段階であれば、表面の塗膜に深刻なダメージはなく、DIYでの塗り替えが比較的容易です。
DIYの準備ポイント
- 作業前に外壁の清掃をし、表面の汚れやほこりをしっかりと取り除きましょう。
- 簡単な道具と塗料を用意するだけで、色あせをリフレッシュすることができます。
劣化レベル2:色褪せと同時にチョーキングが見られる
チョーキングとは、外壁を手で触れた際に白い粉が付く現象です。
これは塗膜が劣化し始めているサインで、塗装の防水機能が低下している可能性があります。
色あせに加えてこの症状が出ている場合、DIYでの塗装は慎重に行う必要があります。
DIYの準備ポイント
- まずは外壁の表面をブラシや高圧洗浄機でしっかり洗浄します。
- チョーキング現象を抑えるために、下地処理を丁寧に行い、下塗り材をしっかりと塗布することが重要です。
劣化レベル3:部分的にカビ・藻・コケなどが発生している
カビや藻、コケが部分的に発生している場合は、塗装を行う前にこれらの除去が必須です。
湿気が多い環境では特に発生しやすく、放置すると外壁材を傷める原因になります。
この段階でのDIYは手間がかかるものの、適切な準備を行えば可能です。
DIYの準備ポイント
- カビ除去剤や高圧洗浄機を使用して、しっかりと洗浄・殺菌を行います。
- 塗装の前に防カビ効果のある下塗り材を選定し、防水性能を高める工夫をしましょう。
劣化レベル4:カビ・藻・コケなどがかなり繁殖している
このレベルではカビや藻、コケが広範囲にわたって繁殖し、外壁の美観が大きく損なわれている状態です。
劣化の影響が外壁材の内部にまで及んでいる可能性もあり、塗装の前に入念な準備が求められます。
DIYをするには相当な時間と手間が必要となりますが、可能ではあります。
DIYの準備ポイント
- プロの使用する高性能なカビ除去剤で洗浄を行い、再発を防ぐための処理が必要です。
- 養生作業を丁寧に行い、防カビ効果のある塗料を使用することで、塗り替えの効果を高められます。
劣化レベル5:サイディング全体にひび割れ・剥落(はくらく)・ゆがみなどがみられる
サイディング全体にひび割れや剥落、さらにはゆがみが生じている状態は、外壁の構造自体がダメージを受けている可能性が高く、DIYでの補修は難易度が非常に高いです。
このレベルの劣化は塗装では解決できない場合もあるため、DIYよりもプロに依頼することを強くおすすめします。
DIYの準備ポイント
- どうしてもDIYに挑戦したい場合は、ひび割れ補修材やエポキシ樹脂を用いて部分補修を行いますが、これはあくまで一時的な対策に過ぎません。
- 安全面を考慮し、必要に応じて専門業者への相談を検討してください。
このように、劣化レベルごとに適切な対応が異なります。
無理をせず、必要に応じてプロのサポートを受けることも視野に入れておくとよいでしょう。
プロが教えるサイデイングボードの塗装方法

DIYで外壁塗装を行う際には、各工程をしっかりと理解し、正確に作業を進めることが大切です。
適切な順序を守ることで仕上がりが良くなり、塗装の持ちも長くなります。
ここでは、プロの視点から、各工程のポイントを詳しく説明します。
1 足場設置
本格的な外壁塗装工事では、まず安全な作業環境を確保するために足場を設置します。
DIYでも高所作業がある場合、足場を組むことは非常に重要です。安定した足場を用意することで、作業中の事故を防ぐことができ、塗装がムラなく行えます。
足場はレンタルも可能なので、検討してみてください。
ポイント
- 足場の設置時には周囲の安全も確保し、近隣の迷惑にならないよう配慮する。
- 落下防止ネットや作業用のヘルメットなど、安全装備も準備して作業することを推奨します。
2 高圧洗浄
外壁の表面に付着した汚れや古い塗膜を高圧洗浄機でしっかりと洗い流します。
汚れが残ったまま塗装をすると、塗料が密着せずに早期に剥がれてしまう原因になります。
ブラシで無理にこすらず、水圧を調整しながら洗浄するのがポイントです。
ポイント
- 特にコケやカビが繁殖している箇所は入念に洗浄する。
- 洗浄後は、外壁が完全に乾くまで十分に時間を置くことが大切です。湿ったまま塗装を行うと、塗料の密着が悪くなります。
3 下地処理・シーリング
外壁の下地にひび割れや劣化が見られる場合は、適切に補修する必要があります。
ひび割れには補修材を使用し、シーリング材(コーキング)の劣化が進んでいる場合は、打ち替えを行いましょう。
下地処理は塗装の持ちを左右する重要な工程です。
ポイント
- 古いシーリングを完全に除去し、新しいシーリングをしっかり充填する。
- 補修した部分が乾燥したことを確認してから、次の工程に進むようにします。
4 養生
塗料がドアや窓枠、床に飛散しないよう、しっかりと養生を行います。養生テープやマスカー(ビニールシート付きテープ)を使用して、塗装しない部分をきちんと覆いましょう。
養生が不十分だと、塗装後の仕上がりに影響が出たり、余計な後片付けが増えてしまいます。
ポイント
- 風で養生がはがれないよう、しっかり固定する。
- 細かな部分も丁寧に養生することで、塗装作業がスムーズに進みます。
5 下塗り・中塗り・上塗り
塗装工程は下塗り、中塗り、上塗りの3回に分けて行います。
まずは下塗り材(シーラーやフィラー)を使用し、外壁に塗料を密着させる土台を作ります。
下塗りが乾燥したら、メインの塗料で中塗りを行い、さらに乾燥後に上塗りを施します。
これにより塗料の耐久性が高まり、見た目も美しく仕上がります。
ポイント
- それぞれの塗装工程ごとに、乾燥時間をしっかり守ることが大切です。
- 天候の影響を考慮しながら作業を進め、湿気が多い日や雨天時は塗装を避けるようにします。
6 足場・養生の撤去
最後に、養生と足場を丁寧に撤去します。塗装が完全に乾燥していることを確認してから作業を行いましょう。
養生をはがす際に塗料が引っ張られたり、塗装が剥がれることのないよう、慎重に進めます。
足場の撤去は、安全面を配慮しながら行うことが重要です。
ポイント
- 足場を解体する際は、周囲に人がいないことを確認してから作業を開始する。
- 撤去後に細かな塗り残しや仕上がりを確認し、必要であれば微調整を行うとよいでしょう。
外壁塗装のDIYで失敗しやすいポイント
外壁塗装をDIYで行う際は、さまざまな失敗リスクが伴います。
特に初心者にとっては、予想以上に難しい作業が多いため、事前に注意点を把握しておくことが重要です。
ここでは、失敗しやすいポイントを具体的に解説します。
洗浄が不十分になってしまう
外壁の洗浄が不十分だと、新しい塗膜の密着力が低下し、すぐに剥がれたりひび割れたりする原因になります。
高圧洗浄機はホームセンターでも購入またはレンタルできますが、プロが使用する高圧洗浄機に比べると水圧が劣ります。
特に劣化レベル4に相当するカビや汚れは、市販の機材では完全に除去するのが難しいことがあります。
また、外壁が十分に洗浄できたかどうかを判断するのも、経験のない方にとっては容易ではありません。
このような判断ミスが施工不良につながりやすいため、注意が必要です。
下塗り材・塗料の選択が難しい
塗料は多種多様で、ホームセンターやオンラインショップで簡単に入手できますが、その分選択肢が多すぎてどれを選べば良いか悩む方が多いでしょう。
特に、塗料の耐久性は塗布直後では判断できず、数年後の変化を見て初めて分かります。
そのため、塗装後すぐのレビューだけでは信頼性に欠ける場合があります。
さらに、下塗り材(シーラー)の選定も重要です。外壁材や既存の塗料の種類によって適切な下塗り材を選ばなければなりませんが、未経験者にはこの選定が難しく、誤った選択が塗装の耐久性を大きく損なうことがあります。
高所作業のリスクがある
外壁塗装では、高所作業が避けられない場合がほとんどです。
脚立を使う際も、慣れていないとバランスを崩しやすく、転倒事故につながる危険があります。
作業中に足を滑らせたり、物を落として周囲に危害を及ぼしたりするリスクもあるため、安全対策を万全にすることが求められます。
高所作業に自信がない場合は、足場だけでも業者に依頼し、安全な作業環境を整えることをおすすめします。
十分な作業期間を確保するのが難しい
外壁塗装は塗るだけではなく、各工程の間に十分な乾燥時間を確保する必要があります。
例えば、高圧洗浄後、下塗り、中塗り、上塗りのそれぞれで乾燥時間を守らないと、塗料が膨れたり剥がれたりする原因となります。
プロでも、天候や湿度を考慮しながら2週間以上の期間をかけて行う作業です。
DIYで塗装をする場合、休暇期間が限られていると、乾燥時間を短縮してしまう恐れがあります。
少なくとも2〜3週間の作業期間を計画的に確保し、天候にも柔軟に対応できるようにしておきましょう。
近隣トラブルのリスクがある
DIYでの外壁塗装は、ご近所とのトラブルを避けるための配慮も必要です。
プロの業者は事前に近隣への挨拶回りを行い、作業中も足場に飛散防止シートを張るなど、周囲への迷惑を最小限に抑える工夫をしています。
DIYの場合も、作業音や塗料のにおいなどがご近所に影響を与えることがあります。
作業前にきちんと挨拶をする、飛散防止シートを設置するなど、周囲への気配りを忘れずに行いましょう。
こうした手間を省くと、思わぬトラブルに発展することがありますので、しっかり対応してください。
これらのポイントを理解し、慎重に準備と作業を進めることで、DIYでの外壁塗装の成功率を上げることができます。
安全と周囲への配慮を忘れずに、計画的に取り組みましょう。
失敗した場合はプロに塗り替えを依頼

DIYによる外壁塗装で色むらや塗料の剥がれ・膨れなどの施工不良が起きてしまった場合、最終的にはプロの助けを借りて塗装をやり直す必要が生じることがあります。
症状によっては、部分的な補修では済まず、外壁全体の塗り替えが必要になることも少なくありません。
その場合、すでにDIYのために数十万円の費用をかけていても、新たに100万円前後の費用が発生する可能性があります。
特に、広範囲にわたる外壁塗装をDIYで試みる際は、事前に失敗した場合のコストをよく考慮し、慎重に判断することが大切です。
また、「最後まで自分で塗り切る自信がない」「十分な作業期間を確保できない」と感じる場合は、初めからプロに相談した方が結果的に経済的で安全な選択かもしれません。
プロは経験と知識を活かし、迅速かつ高品質な仕上がりを提供することができます。
DIYでの外壁塗装は魅力的な挑戦ではありますが、そのリスクと費用を冷静に見極めましょう。
まとめ
外壁塗装のDIYは費用を抑える方法として人気がありますが、施工不良のリスクを考えると、一度失敗するとさらに高額な修繕費がかかる可能性があります。
そのため、未経験者が広範囲の塗装リフォームを自己流で行うことは、あまりお勧めできません。
しかし、DIYには独自の楽しさがあり、完成したときの達成感は格別です。
もし外壁塗装をDIYで行うのであれば、まずは次のような条件の場所から始めると良いでしょう。
このような場所で少しずつ経験を積んでいけば、塗装技術も向上し、より広範囲の塗装作業にも自信を持って取り組めるようになるかもしれません。
成功と失敗の両方を経験することで、より良いDIYのスキルが身につくでしょう。