家の補修や修繕など、自分でできることはDIYで行えば、自分の家に対する愛着もより深まっていくものですよね。
そこで、今回は外壁のコーキング工事をDIYでできるかどうかの判断や、実際にどう行えば良いかなどをご紹介します。
コーキングとは?3つのポイントで理解しておこう
コーキングは「シーリング」や「シーラント」などとも呼ばれ、内装・外装を問わず住まいのさまざまな場所で使われています。
コーキングについて、まずは3つの基本的なポイントを覚えておきましょう
ポイント1:コーキングの役割
建物の中でコーキングが果たす役割は主に、
という役割を果たしています。
この役割の中で、屋根・外壁においては特に防水のために果たしている役割が大きく、コーキングが劣化してひび割れたりはがれたりしてくると、建物内に雨水が侵入して雨漏り・カビ・駆体の腐食などの原因となってしまいます。
ポイント2:コーキングが使われる場所
コーキングは建物の内装・外装どちらにも使われますが、特に窯業系サイディング使っている外壁では、
などのスキマを埋めるために使用されています。
ポイント3:コーキングの素材
コーキング材にはさまざまな素材が使用されていて、使用される素材によってコーキングの性質も異なります。いろいろな素材のものがありますが、建材として使用される「コーキングには下記のような種類があります。
DIYでコーキング工事を行う場合には、それぞれのメリット・デメリットを理解して、適切なコーキング材を選ぶようにしましょう。
シリコーン系
- シリコーン系コーキングのメリット
- 高い耐候性(野外で使用される際の耐久性)
- 高い耐水性
- 高い耐熱性
- シリコーン系コーキングのデメリット
- 上から塗装できない
- ブリード現象(コーキングが周囲を変色させたりシミができたりする現象)を起こすことがある
非常に優秀なコーキング材で、塗装が必要なければ水回りを含めたあらゆる場所に使用されます。
特に高い耐候性が求められる屋根の補修などにはシリコーン系コーキングが活躍します。
変成シリコーン系
- 変成シリコーン系コーキングのメリット
- 耐候性に優れている
- 上から塗装できる
- ノンブリードタイプ(ブリード現象が起きにくい)がある
- 変成シリコーン系コーキングのデメリット
- 常に水がかかる部分には使用できない
- ブリード現象を起こす可能性がある
シリコーン系の長所を持ちつつ、上から塗装もできるという優秀なコーキング材で、建築物の中で水回り以外のあらゆる場所に活用されます。
ポリウレタン系
- ポリウレタン系コーキングのメリット
- 上から塗装する場合の作業性に優れている
- ノンブリードタイプがある
- ポリウレタン系コーキングのデメリット
- 耐候性に難がある
- 硬化に時間がかかる
- 温度が低いと硬くなって作業性が落ちる
ポリウレタン系コーキングは耐候性は良くありませんが、塗装するなら外回りにも使用できます。
塗装性が良いため、塗装が必要な箇所の下地処理によく活用されます。
コーキングをDIYでできるかどうかの判断基準
コーキング工事を自分で行えるかどうかについてはケースバイケースですので、コーキングの現状をしっかり観察することが大切になります。
家の目地やサッシ周りに打たれているコーキングがどんな状態にあるのか、下記の3つのポイントを参考にしながらよくチェックしてみましょう。
ポイント1:作業が必要な箇所の高さ
コーキングの交換作業が必要な箇所が、それほど高い場所でなければDIYが可能かもしれませんが、脚立が必要な場所であれば十分注意しましょう。
国民生活センターの調査によると、脚立・ハシゴなどに起因する事故は、医療機関に把握されているだけでも年間で500件近く発生しており、その内の約半数で入院治療が必要だったそうです。
決して脚立・ハシゴによる作業を軽く見ることはできません。
そのため、コーキング作業を行う場合は、作業箇所が地面に立って手が届く場所、もしくは低めの脚立に安定して立って作業できる高さ以下であることが望ましいでしょう。
ポイント2:作業量の多さ
部分的なコーキング工事であれば、DIYでも問題なく完成させられるでしょう。
ただし、コーキングが屋根・外壁の全面で劣化しているように見受けられるなら、プロに任せた方が得策かもしれません。
これは、作業量が多くて時間や手間が多くかかるというだけのことではなく、劣化が見た目以上に進行している可能性があるため、どのような補修・修繕が適切かにプロの判断を仰いだほうが良いケースがあるからです。
もし頑張ってかなりの作業量のコーキング工事を自分で行っても、外壁内部にカビや腐食が進んでいれば、すぐに大々的に工事のやり直しを行わなければならないかもしれず、そうなると費用もかなり無駄になってしまいます。
ポイント3:屋根のコーキングはなるべくプロに任せましょう
コーキング工事は防水性能の回復が目的である場合が多いですが、注意していないと効果がないばかりか、逆効果になってしまうこともあり得ます。
特に雨漏りが発生している際の、屋根のコーキング補修などですが、雨漏りの原因の特定は素人には判断が極めて難しいケースも多くある上に、下手にコーキングを打ってしまうと、雨水の流れが阻害されて、雨漏りが改善しないばかりか余計に悪化してしまうということもあり得ます。
特に屋根のコーキング工事は、安全性なども併せて考えるとプロに任せたほうが良いでしょう。
DIYで行うコーキングの手順
DIYでコーキングを行う場合には、下記のような手順で行います
手順1:古いシーリングを撤去する
実はコーキングは目地の溝の両サイドにしか接着されていないので、両サイドに切り込みを入れていけばスルッと剥がれるようになります。
コーキングに切り込みを入れる道具はカッターで十分です。しっかりとグリップできて手が滑りにくい、大きめのカッターを使うのがおすすめです。
カッターの刃はあまり長く出しすぎず、切り込み作業はゆっくり慎重に行いましょう。脚立の上などで作業する場合も、絶対に足場が不安定な体勢で作業してはいけません。
切り込みを入れた後は、古いコーキング材をラジオペンチなどで引っ張り出して取り除きます。
古いコーキング材を剥がした後は、スクレイパーといわれる金属製のヘラで目地に残ったコーキングの残りをキレイにそぎ落としていきます。
古いコーキング材の断片が残っていると、新しいコーキング材が目地に密着しにくくなります。なるべくキレイに剥がし切るようにしましょう。
手順2:養生
コーキング材が目地からはみ出さないように、コーキングを打つ目地の両サイドにマスキングテープをまっすぐにスキマなく貼って養生していきます。
養生は最後には剥がしてしまうものですが、仕上がりの美しさを大きく左右する大切な手順です。
ちょっと面倒な作業ですが丁寧さを心がけましょう。
手順3:プライマーの塗布
コーキング材が目地にしっかりと密着するように、下地となる部分にプライマーを塗布しておきます。
いわばコーキングの下塗りですね。このとき、プライマーは目地の両サイド二面にだけ塗るようにします。
サイディング外壁の目地の両サイドはサイディング材の小口(断面)、目地の奥面にはハットジョイナーという断面が凸型になった金属製の部材があります。このハットジョイナーのトップにはボンドブレーカーという青いテープが貼られています。
プライマーはこのハットジョイナーの青い部分にはなるべく付着しないよう両サイドのサイディング材の小口だけに塗ります。
コーキング材は目地の両サイドにはしっかり密着し、奥面にはくっつかないように施工した方が、弾性が保たれ長持ちするようになります。
手順4:コーキングの充填とヘラ抑え
目地にプライマーを塗り終えたら、コーキング材を外壁の目地にしっかり充填していきます。
外壁に使用するコーキング材はたいてい筒状の容器に詰められています。
この容器の先端の細くなった部分をカッターで切り落とし、コーキングガンで押し出すようにコーキングを充填していきます。
目地にコーキングを充填する時には、ちょっと多めに押し込むように充填していくのが、うまく仕上げるコツです。
コーキングを充填し終われば、バターナイフのような形の金属のヘラでコーキングを整え、ゴムとスポンジでできたバッカーと言われる専門の道具で、表面をさらに均(なら)していきます。
この押さえる作業の出来栄えがそのままコーキング表面の仕上がりになります。
手順5:養生の撤去
コーキングの充填と押さえ・均し作業が終われば、コーキングが乾く前にマスキングテープを剥がします。乾いてから剥がすと、せっかくキレイに仕上げたコーキングが破けてしまうことがあります。
コーキングが完全に乾くまでは1週間ほどですが、乾く前であってもコーキングのラインがぐちゃぐちゃにならないように、ゆっくり丁寧に剥がしましょう。
おすすめのコーキング材と必要な道具
コーキング材の種類は先述の通りですが、屋根・外壁に使用するのであれば
を選んでおけば、間違い無いでしょう。
コーキングを製造しているメーカーでは、
などがメジャーで、質の良いコーキング材を提供しています。
プライマーはコーキングのメーカーと揃えておけば、問題なく使用できるでしょう。
その他に揃えておきたい道具
コーキング工事のDIYでは、
などが必要になります。
これらは、メーカーごとにクオリティーが大きく異なるというモノではありませんので、近所のホームセンターで入手できるモノで大丈夫です。