2023.10.12

金属塗装のコツをペンキのプロが解説―初心者でもかんたんDIY塗装

建物の金属製の箇所や家具も時間がたつと劣化して、塗料がはがれてしまったり、サビが出たりして、見た目が気になってしまいます。

劣化していなくても、ちょっとした塗装ならイメージチェンジのために自分でチャレンジしてみたい、と思う方もいらっしゃるでしょう。
特に金属製のものを塗装するときに注意したいのは、

  •  下地をきちんと処理してから塗装する
  •  塗装前に、時間をかけて丁寧に養生する
  •  下地にあった塗料を選ぶ

ということです。

今回は、ペンキ塗りのプロが教える、初心者でもかんたんにできる金属塗装のポイントをご紹介していきましょう。

棚やテーブルDIYで作ったものに色を塗ろう

最近では、ホームセンターなどで手に入る材料と道具でかんたんにDIYをはじめる方も多いようですね。
DIYしやすい木材の棚やボックス、テーブルやベンチは、せっかくなら長くきれいにツヤを保つために、塗装にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

特に室外に置く家具やウッドデッキなどは、紫外線や雨にさらされるとシミ・色あせなどの劣化がすぐに表れるので前もって塗膜で保護しておけば、劣化スピードを抑えることができます。
さらに、自宅にある既製品の木材家具やドアを塗装すれば、ツヤを出したり、色を変えたりして、自分でかんたんにイメージチェンジすることもできます。

金属製の柵などDIYで塗装して耐久性UP

建物の金属製の部分といえば、

  •  庭や玄関の柵
  •  ベランダの手すり
  •  ドアの取手

などがあり、普段触れることも多く、目につきやすい箇所でもあります。

特に柵や手すりは熱や雨にさらされるので耐久性が落ちやすいので、定期的に塗装メンテナンスしておけば、さび止めにもなるので安心ですよね。
家具やインテリアのアレンジでは、

  •  椅子などのスツール
  •  ランプシェード
  •  ブリキのバケツ

などのDIY塗装をして楽しむ方も増えているようです。

鉄やステンレスなど材質で選ぶ塗料と道具

ひとことで金属といっても、材質は鉄やアルミ、ステンレスなどいろいろな種類のものがあります。
特にアルミやステンレスは塗料が密着しにくいので、密着性が高く、耐久性も高い油性塗料がおすすめです。
ただし、油性塗料は溶剤独特の刺激のあるニオイがあり、室内で作業するにはちょっと不向きかもしれません。室内で塗装する場合には、しっかりと下塗りプライマーを塗ってから水性塗料で塗装することもできます。

塗料は「液体タイプ」と「スプレータイプ」から選べます。
塗装するときには下記のような道具をそろえてから作業に取り掛かりましょう。

  •  刷毛(はけ)とローラー
  •  紙やすり
  •  マスキングテープ
  •  新聞紙
  •  バケツ

初心者でもかんたんに塗れる金属塗装の手順

塗装の道具がそろったら、塗装の手順を頭に入れてから塗装を始めましょう。

下地処理

まずは、下地のサビや既存の塗料を落としていきます。
サビがあればワイヤーブラシを使って丁寧に取り除き、その後全体を紙やすりをかけて塗料が密着しやすくなるように整えます。
紙やすりを見ると目の荒さのレベルが書いてありますが、金属には150番手のものがおすすめです。

養生

塗料をつけたくない箇所にマスキングテープやマスカーで養生していきます。
蝶番(ちょうつがい)などの可動部は塗料でスキマが詰まると動かなくなったり、動かそうとすると塗料がはがれたりしてしまいます。マスキングテープをうまく使って可動部を避けながら塗装します。

下塗り

塗料が下地に密着して剥がれにくくなるように、まずは下塗り材のプライマーを塗ります。
スプレータイプの下塗り材は、

  •  スプレーを塗装部から20〜30cmほど離す
  •  手を動かすスピードを一定にする
  •  全体の厚みが均一になるようにする

といったポイントを意識すればうまく塗れると思います。
特にサビやすい鉄製品は、さび止め効果のあるプライマーを塗れば安心です。

上塗り

液体タイプの塗料はまず細部や端は刷毛(はけ)で塗り、その後広い部分をローラーで塗るときれいに仕上がります。
上塗り作業でも、スプレーで塗装する場合は、上記③で紹介したポイントを意識して塗装しましょう。
塗装作業に慣れていない人なら、最初は刷毛よりもスプレーの方が扱いやすくかんたんかもしれません。

上塗りが終わってもまだ完成ではありません。塗り終わったらまずは養生をすべてはがします。その後塗装面がしっかりと乾燥したら塗装作業は完了になります。

DIYで行う金属塗装の失敗例と対策

金属部分の塗装のDIYには失敗も付き物です。
もちろん、何度もトライするうちにわかってくることもありますが、初めて金属部分のDIY塗装を行うでも、基本を理解しておくだけで多くの失敗は避けられます!

金属塗装のDIYでよくある失敗と対策を覚えておきましょう。

【失敗例1】塗装後すぐに錆が出る。塗膜が浮いてくる

  •  【原因】サビ・汚れの除去が不十分
  •  【対策】DIYでもケレン作業を丁寧に行う

塗装を美しく仕上げるためには下地処理(ケレン作業)がとても大切です。
鉄部の塗装では古く劣化した塗膜や汚れ、錆を十分に除去しなければなりません。

特に錆はしっかり落としておかないと塗膜の下でも広がっていくので可能な限り除去するようにしましょう。
軽度な錆ならサンドペーパー、深いサビにはワイヤーブラシやサンダーなどを使用します。サビが深いものほど除去の難易度は上がり、取り扱いの難しい道具が必要になります。

サビの除去が難しい場合には、可能な範囲で錆を落とし、サビの上から塗れる、錆止め作用のある塗料を使うという方法もあります。

【失敗例2】色や塗膜の厚みにムラがある

  •  【原因】乾燥が不十分なまま上塗りしてしまう
  •  【対策】下塗り・中塗り・上塗りの合間に十分な乾燥時間をおく

鉄部の塗装はプライマー・中塗り・上塗りと3回程度の塗装作業を繰り返せば、塗膜は強く、美しくなります。
この時、塗装と塗装の間の乾燥時間が不十分だと、色ムラがでたり塗膜が弱くなったりというトラブルにつながります。

DIYで鉄部塗装を行いたい場合には、塗装作業だけでなく乾燥のためにも十分な時間を確保できるように工程を計画しましょう。

【失敗例3】塗料が他の場所にはみ出してしまう

  •  【原因】養生が不十分、塗装道具が不適切
  •  【対策】養生を丁寧に。適切な道具で塗装する

塗料が他の場所へはみ出さないようにするには、塗装業者前にしっかりと丁寧に養生しておきましょう。
細かな部分の養生にはマスキングテープや養生テープを使用し、窓や室外機などの広い面積を養生するにはマスカー(養生テープとビニールシートが一体になったもの)がおすすめです。

養生テープ類は最後の塗装が終わった後、塗料が乾燥してしまう前に剥がすようにしましょう。

DIYで行う金属塗装の費用相場

金属部分をDIYで塗装する時の費用は、単純に塗料代+道具代のみとなります。

下記の情報をもとに自分でトライしてみたい金属部分のDIYがいくらかかるか、試算してみましょう。

塗料にかかる費用

  • 鉄部用塗料(80ml)…600円〜
  • 鉄部用塗料(200ml)…1000円〜
  • 鉄部用塗料(700ml)…2500円〜
  • 鉄部用塗料(1.6l)…4000円〜
  • ラッカーうすめ液…1000円〜
  • プライマー(3.7l)…6000円〜
  • プライマースプレー(400ml)1500円〜

鉄部用の塗料の容量が細かく選べるのに対して、プライマーは少量のみの製品があまり流通していません。
少ない面積だけ塗装したい場合は、スプレー式のプライマーが使いやすく、費用の節約にもなるのでおすすめです。

道具にかかる費用

  • 塗装用刷毛(3本セットなど)…800円〜
  • 塗装用ローラー…1000円〜
  • サンドペーパー…250円〜
  • 養生テープ…250円〜
  • 養生マスカー…300円〜

塗装道具はたいてい鉄部用・木部用という違いはありませんが、水性塗料用・油性塗料用と分けられているため、塗料の性質に合わせて選びましょう。
塗装面積が広いなら刷毛・ローラーはスペアも用意しておくのがおすすめです。

このように塗料+道具代を合計しても、細かな部分のDIY塗装であれば3000円以内で仕上げられる可能性もあります。プロに依頼するよりかなり費用を抑えられるのは間違い無いでしょう。

金属塗装の注意点

安全に金属塗装作業を行うために、

  • 塗料を火気の近くや高温になる場所に置かない
  • 油性塗料・水性塗料どちらを使う場合にも作業中は十分に換気する

といった安全面の配慮も怠らないようにしましょう。

特に有機溶剤系の油性塗料は強い刺激臭があることがあります。
大抵の製品が人体に影響の少なくなるよう配慮されていますが、この影響には個人差があります。
心配な方は水性塗料や低VOC塗料などを選ぶのがおすすめです。

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