2023.11.9

窯業系サイディングとは?現在、最も使われている外壁材

外壁はいわば住まいの“顔”になる部分ですから、よく理解した上できちんと選びたいところです。
その住まいの顔となる外壁材の代表ともいえるのが「窯業系サイディング」。日本の住宅の外装材としてシェア70%以上を占めると言われるこの窯業系サイディングについて、この記事でご紹介したいと思います。

窯業系サイディングのイメージ1

窯業系サイディングとは、セメントと繊維質でできたパネル状の外壁材のことです。「サイディング」とはそもそも張り付けて施工するタイプの外壁材全般を指す言葉ですが、ほとんど「サイディング=窯業系サイディング」というような意味で使われることもあります。

外壁材に窯業系サイディングを採用するメリットとは?

窯業系サイディングの長く続く人気には、やはり納得の理由があります。
外壁材選びに役立つ、窯業系サイディングの代表的な5つのメリットをご紹介しましょう。

メリット1:他のサイディングに比べて安い

主なサイディングの価格相場を比較してみると下記のようになります。

  •  窯業系サイディング:5,000~10,000円/㎡
  •  金属系サイディング:6,000~20,000円/㎡
  •  タイル:7,000~2,000円/㎡
  •  木質系サイディング:10,000~25,000円/㎡

このように、窯業系サイディングは比較的安くて価格帯も狭いので、限られた費用の中でも好みに合ったものを見つけやすいでしょう。

メリット2:デザインが豊富

窯業系サイディングはデザイン面での制限がほとんどなく、非常に多種多様な選択肢があります。
現在は7社のメーカーが、トータルで数千種類を超える窯業系サイディング製品を取り扱っていると言われています。

メリット3:施工性が良い

窯業系サイディングは工場生産品。加工も施工も簡単なので、施工業者ごとの仕上がりの差がほとんどなく、他の外壁材、他の施工方法よりも短期間で施工することができます。

メリット4:防火性・防音性などの機能も十分

窯業系サイディングは繊維質とセメントが押し固められたような構造になっています。そのためけっこうな重さがありますが、防火性・防音性がすぐれているため住まいの安全性と快適さを守ります。

窯業系サイディングのデメリット

窯業系サイディングを選ぶにあたっては、下記のようなデメリットがあることも覚えておきましょう。

デメリット1:定期的な塗装メンテナンスが必要

窯業系サイディングは、定期的な塗装メンテナンスを怠ると、外壁の劣化が進んで家の雨漏りや壁が室内側にも進行してしまう恐れがあります。

例えば、窯業系サイディングの防水性は主に外壁塗装で保たれていますが、塗装が劣化したまま放っておくと、外壁全体にカビやコケなどが発生し外壁内部に雨水や湿気が侵入してしまうようになります。この状態をさらに放置すると、最悪の場合サイディング全体を張り替えなければならなくなるかもしれません。

窯業系サイディングの塗装リフォームは、使用する塗料にもよりますが10年に1度程度のペースで行うのが理想的です。

デメリット2:防水機能のためにシーリングも定期的に交換する必要がある

窯業系サイディングの場合、外壁の防水性を保つために外壁のあらゆる隙間を埋めているシーリング(コーキング)も定期的に交換する必要があります。
シーリングも外壁塗装と同じく10年に1度ほどのペースで交換するのが理想的です。外壁塗装リフォームと同時に行えば、工事のための仮設足場代などの節約になります。

窯業系サイディングにはどんな種類がある?

窯業系サイデイングのイメージ2

窯業系サイディングは、素材で分類すると下記のような3種類があります。

  •  地球に優しく断熱性も高い『木繊維補強セメント板系』
  •  コンクリートに匹敵する強度を誇る『繊維補強セメント板系』
  •  不燃性が高い『繊維補強セメント・ケイ酸カルシウム板系』

窯業系サイディングは、デザイン的に下記のような3種類に分類することもできます。

  •  多色系…複数の色で着色されている
  •  単色系…一色で塗装されている
  •  無着色…塗装されていない

窯業系サイディングのメンテナンスと塗り替え時期

窯業系サイディングの塗装リフォームは10年に1度が目安になりますが、使用する塗料のグレードと耐用年数によって、塗装リフォームのタイミングは下記のように異なります。

窯業系サイディングのイメージ3
  •  ウレタン塗料…耐用年数8~10年
  •  シリコン塗料…耐用年数10~15年
  •  ラジカル制御型塗料…耐用年数12~15年
  •  フッ素塗料…耐用年数15~20年

この耐用年数が過ぎる頃が、塗装リフォームのタイミングの目安になります。
デザイン性が高く、単色の塗料で塗りつぶしてしまうのがもったいないような多色系の窯業系サイディングであれば、透明な「クリア塗料」で塗装します。

クリア塗料にもグレードがあります。
建物の立地環境や製品によって状況は異なりますが、それぞれの耐用年数の目安がこちらです。

  •  クリア塗料(ウレタン)…耐用年数8~10年
  •  クリア塗料(シリコン)…耐用年数10~15年
  •  クリア塗料(フッ素)…耐用年数15~20年
  •  クリア塗料(無機)…耐用年数20年以上

窯業系サイディングの外壁を塗り替える

外壁塗装の塗料の種類を選ぶ

塗料によって外壁塗装の仕上がりや建物の印象が違ってくるので、まずは完成をイメージして、「クリア塗装にするか」「色付き塗装にするか」を選びます。

クリア塗装なら、塗膜にツヤが出るのでデザインは変えずに新築のような美しさを保つことができます。
製品によってはクリア塗料のツヤの度合いも「3分艶」「5分艶」「艶消し」など好みのものが選べます。
さらに、一般的によく見る色の着いた塗料には顔料という成分が含まれているため、塗膜が劣化すると白い粉のようになって浮き出る「チョーキング現象」が発生しますが、クリア塗料には顔料が含まれていないので、チョーキング現象が起こることもありません。

ただし、すべての窯業系サイディングにクリア塗装ができるというわけではないので注意が必要です。

  •  すでにチョーキング現象が発生している
  •  クラックなど塗装ではカバーしきれない劣化がある
  •  光触媒やフッ素・無機などで特殊コーティングされている

などの外壁の場合はクリア塗料が向いていないため、外壁塗装リフォームを行う際には顔料入りの塗料で塗装する方がよいでしょう。

単色で塗り替える場合の手順

建物の外壁塗装をするときには、どの種類の塗料を使う場合も、

  •  足場の設置
  •  養生
  •  洗浄
  •  下地処理(補修・ケレン)
  •  塗装

という工程で作業を進めます。

色の着いた塗料で窯業系サイディングの塗装をする場合は、まず目地に充てんしているシーリング材を補修します。
シーリング材は紫外線や熱にさらされると外壁の塗膜よりも劣化しやすく、ひび割れや剥離などの劣化症状が発生すると隙間から雨が入り込む可能性の高い箇所です。

シーリングのほかにも、窯業系サイディングにひび割れや剥離が発生している箇所があれば補修し、その後

  •  1.下塗り
  •  2.中塗り
  •  3.上塗り

の3工程で色の着いた塗料で塗装します。

塗料がしっかり外壁に密着し施工不良を起こさないようにするためには、それぞれの塗料がしっかり乾いたから次のステップに進むことが大切です。

クリア塗装する場合の手順

クリア塗装でも塗装前までの手順は同様ですが、

  •  1.下塗り
  •  2.上塗り

の2工程で施工するのでより短い塗装工程になります。

単色塗装に比べて塗装の回数や使用する塗料の量が減るので、コストが少なく工事期間が短くなるというのはクリア塗装のメリットです。

クリア塗装を行う時は、目地のシーリング材の補修のタイミングに注意が必要です。
シーリング材にクリア塗料を重ねるとシーリング材が傷みやすくなるため、クリア塗装の場合は塗装後にシーリング材をメンテナンスします。

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