2025.09.30

外壁塗装で火災を防げるって本当?知っておきたい外壁塗装と防災の関係

外壁塗装と言うと、外壁を綺麗に飾るものというイメージが強いかもしれません。確かに綺麗な外観も大切です。
しかし、外壁塗装の重要な役割の一つは、家や建物を火災その他の災害から守ることです。
「外壁塗装が火災を防ぐ!?」そう思われるかもしれませんね。

今回は外壁塗装が火災を防ぐメカニズムと、築10~20年の戸建て住宅で注意すべきポイントについて詳しく解説します。

外壁塗装が建物を火災から守る3つの理由

外壁塗装が建物を火災からメカニズムはいろいろありますが、ここでは3つに絞って説明します。

1. 外壁塗装は火を寄せ付けない

江戸時代、商人の家では土蔵に大事なものをしまっていました。
今でも、例えば、佐原市などに行くと土蔵の白壁が並ぶ美しい街並みを見ることができます。
また、有名なのは姫路城ですね。
外壁だけでなく屋根まで白い姿を見ると「白鷺(しらさぎ)城」という名前がぴったりだと思います。

姫路城は外壁の白さから白鷺城と呼ばれています

この白さの秘訣が外壁塗装です。土蔵でもお城でも漆喰(しっくい)を外壁塗装に使っていたのです。

漆喰は消石灰を主成分としています。学校の校庭のライン引きで使った方もいるでしょう。
あの消石灰はいわば石の粉のようなものですから燃えません。火も寄せ付けません。

火災では火の粉や高温の燃えかすなどが宙を舞い延焼することも多いのですが、漆喰壁であれば火の粉や高温の燃えかすなどが当たっても火がつかないのです。

漆喰は塗るのに費用も掛かるし重いので、現代ではそれに代わる塗料が使われますが、適切な外壁塗装は防火服のようなものです。
火種が飛んできてもある程度の熱にさらされても着火しないので、昔の土蔵やお城の漆喰のようにあなたの大切な家を火災から守るのです。

2. 外壁塗装は劣化を防ぐ

残念ながら建物は劣化してしまうものです。
紫外線や雨風、乾燥によるひび割れ、虫食い、カビ、コケ、ツタなどの植物…家の周りは敵だらけです。
こうした隙間に、例えば、火の粉が飛んで来れば、家の中から燃え上がってしまいます。

しっかりした外壁塗装は、家をこうした敵から守ります。
家の劣化がなければあなたの大切な家は火災から守られるのです。

3. 外壁塗装は放火を防ぐ

総務省消防庁が発表した「令和4年版消防白書」によると、令和3年中の火災の原因は以下の通りです。

グラフ:火災の原因(消防白書より)

放火と放火の疑いを合わせると3,710件で、全火災の約10%を占めています。
「割れ窓理論」をご存じでしょうか?
「建物の窓が壊れているのを放っておくと、あまり注意していないと思われ、他の窓も全て壊される」という犯罪理論です。

放火も同じです。外壁が剥れた家と綺麗な外壁塗装の家、どちらが放火の危険が高いかと言えば、外壁が剥れた家です。
放火犯としては一刻も早く現場を離れたいので火の付きにくそうな家は敬遠します。
防犯面から考えても外壁塗装は、家をこうした火災から守ります。

首里城火災から学ぶ塗料選びの重要性

火災直後の首里城

2019年10月31日に発生した首里城火災では、正殿をはじめとする9施設が焼失しました。
この火災では、伝統的な建築様式を再現するために使用された塗料も火災の拡大に影響を与えたとされています。

第二次世界大戦中に焼失し、1992年に再建された首里城は、文化的背景から桐油(とうゆ)というアブラギリの油に赤い顔料を溶かした伝統的な塗料が使用されていました。
桐油塗料は耐水性に優れる一方で、油分を含むため可燃性が高いという特性があります。
油の多くは揮発しているはずですが、当然、残るものもあります。
塗料に油はつきものですが、残念ながら火勢をそぐというよりは火の勢いを増してしまった可能性が高いでしょう。

この事例は、塗料の選択が建物の防火性能に大きく影響することを示しています。
現代の住宅では、このような教訓を踏まえて適切な塗料を選択することが重要です。

修復作業中の首里城の屋根

外壁塗装で火災から建物を守る3つの方法

以上のことからおわかりいただけると思いますが、外壁塗装で火災から建物を守るには適切な外壁塗装をする必要があると言えます。
ただ外壁塗装をしたから安心ではありません。
そこで、特に注意すべき点をご説明いたします。

1. 外壁塗装で火災から建物を守るには塗料が大事

実は外壁塗装で使われる塗料にはさまざまな種類があります。
フッ素系塗料、光触媒塗料、シリコン系塗料、ウレタン系塗料、アクリル系塗料などです。

現在の主要塗料の耐久性と特徴
フッ素系塗料:耐久年数15~20年、最も耐久性が高い
シリコン系塗料:耐久年数10~15年、コストパフォーマンスが良い
ウレタン系塗料:耐久年数8~10年、価格が安い
アクリル系塗料:耐久年数5~8年、現在はほとんど使用されない

アクリル系塗料などは汚れがつきやすく最近ではほとんど使われません。
火災から守られるメリットを考えると、なるべく耐久性の高い塗料で外壁塗装をしたいものです。

2. 外壁塗装で火災から建物を守るには下地処理が大事

新築以外の場合、既に外壁はさまざまな障害を抱えています。
その上にいきなり外壁塗装をしても十分な効果は得られません。
例えば、汚れやカビその他を綺麗に除去したり適切な補修をするなど下地処理が大事です。

3. 外壁塗装で火災から建物を守るには施工が大事

下地処理とも関係しますが、しっかりした施工が大切です。
例えば、三回塗り(下塗り・中塗り・上塗り)を確実に行うとか、きちんと養生するとか、一般の方では気づきにくいかもしれませんが、業者によって施工はずいぶんと違います。
きちんとした施工でなければ、後でボロが出てきてしまいます。

築10~20年住宅の防火対策としての外壁塗装

築年数別の注意ポイント

築10~15年の住宅
初回塗り替え時期:適切な塗料選択で長期的な防火性能を確保
外壁材の健全性確認:窯業系サイディングの吸水による劣化チェック
シーリング材の点検:防水性と気密性の維持
築15~20年の住宅
二回目の塗り替え検討:前回使用塗料の耐久年数に応じた計画
外壁材の健全性診断:部分的な交換が必要かどうかの判断
防水機能の総合的な見直し:屋根・外壁・バルコニーの一体的なメンテナンス

まとめ

外壁塗装は見た目だけではなく火災などの災害から家を守ります。
そのためには、しっかりした塗料、しっかりした下地処理、しっかりした施工が重要です。

特に築10~20年の住宅では、初回または二回目の塗り替え時期として、長期的な防火性能を考慮した塗料選択が大切です。
こうした防災に役立つ外装塗装には補助金が出ることもあります。しっかりした外装塗装で家やお財布だけでなく地域社会と地球環境も守りましょう。

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