2019.12.3

外壁塗装で火災を防げるって本当?知っておきたい外壁塗装と防災の関係

 

外壁塗装と言うと、外壁を綺麗に飾るものというイメージが強いかもしれません。確かに綺麗な外観も大事です。しかし、外壁塗装の重要な役割は、家や建物を火災その他の災害から守ることです。

「外壁塗装が火災を防ぐ!?」そう思われるかもしれませんね。

今回は外壁塗装が火災を防ぐメカニズムについて説明しましょう。

外壁塗装が建物を火災から守る3つの理由

外壁塗装が建物を火災からメカニズムはいろいろありますが、ここでは3つに絞って説明します。

1. 外壁塗装は火を寄せ付けない

江戸時代、商人の家では土蔵に大事なものをしまっていました。今でも、例えば、佐原市などに行くと土蔵の白壁が並ぶ美しい街並みを見ることができます。

また、有名なのは姫路城ですね。外壁だけでなく屋根まで白い姿を見ると「白鷺(しらさぎ)城」という名前がぴったりだと思います。

この白さの秘訣が外壁塗装です。土蔵でもお城でも漆喰(しっくい)を外壁塗装に使っていたのです。

漆喰は消石灰を主成分としています。学校の校庭のライン引きで使った方もいるでしょう。あの消石灰はいわば石の粉のようなものですから燃えません。火も寄せ付けません。

火災では火の粉や高温の燃えかすなどが宙を舞い延焼することも多いのですが、漆喰壁であれば火の粉や高温の燃えかすなどが当たっても火がつかないのです。

漆喰は塗るのに費用も掛かるし重いので、現代ではそれに代わる塗料が使われますが、適切な外壁塗装は防火服のようなものです。火種が飛んできてもある程度の熱にさらされても着火しないので、昔の土蔵やお城の漆喰のようにあなたの大切な家を火災から守るのです。

2. 外壁塗装は劣化を防ぐ

残念ながら建物は劣化してしまうものです。紫外線や雨風、乾燥によるひび割れ、虫食い、カビ、コケ、ツタなどの植物…家の周りは敵だらけです。

こうした隙間に、例えば、火の粉が飛んで来れば、家の中から燃え上がってしまいます。

しっかりした外壁塗装は、家をこうした敵から守ります。家の劣化がなければあなたの大切な家は火災から守られるのです。

3. 外壁塗装は放火を防ぐ

嫌な話ですが、放火は火災原因の第2位です。「放火の疑い」も含めると5,833件で、全火災の14.8%も占めています。

火災の原因(平成30年度消防白書より)

「割れ窓理論」をご存じでしょうか?
「建物の窓が壊れているのを放っておくと、あまり注意していないと思われ、他の窓も全て壊される」という犯罪理論です。

放火も同じです。外壁が剥れた家と綺麗な外壁塗装の家、どちらが放火の危険が高いかと言えば、外壁が剥れた家です。
放火犯としては一刻も早く現場を離れたいので火の付きにくそうな家は敬遠します。

防犯面から考えても外壁塗装は、家をこうした火災から守ります。

外壁塗装の塗料が首里城大火災を招いた?

それでは外壁塗装をしさえすれば、家や建物を火災から守れるのでしょうか? 答えはNOです。その一例が首里城大火災です。

首里城大火災の原因はいろいろありますが、火災の勢いが増した原因のひとつが塗装だと言われています。桐油(とうゆ)というアブラギリの油に赤い顔料を溶かした塗料が使われていたようです。

もちろん、文化的背景があるので、桐油を使ったのが悪いと批判するつもりはありませんが、桐油塗料では耐水性はあるものの耐火性はありません。油の多くは揮発しているはずですが、当然、残るものもあります。

塗料に油はつきものですが、残念ながら火勢をそぐというよりは火の勢いを増してしまった可能性が高いでしょう。

外壁塗装で火災から建物を守る3つの方法

以上のことからおわかりいただけると思いますが、外壁塗装で火災から建物を守るには“適切な外壁塗装をする必要がある”と言えます。

ただ外壁塗装をしたから安心ではありません。そこで、特に注意すべき点をご説明いたします。

1. 外壁塗装で火災から建物を守るには塗料が大事

実は外壁塗装で使われる塗料にはさまざまな種類があります。フッ素系塗料、光触媒塗料、シリコン系塗料、ウレタン系塗料、アクリル系塗料などです。

この順番に耐久性が下がり、アクリル系塗料で5年程度です。なお、シリコン系塗料で10年弱、フッ素系塗料で15年程度の耐久性と言われています。

アクリル系塗料などは汚れがつきやすく最近ではほとんど使われません。もちろん、耐久性の高い塗料はコストも高くなりますが、火災から守られるメリットを考えると、なるべく耐久性の高い塗料で外壁塗装をしたいものです。

2. 外壁塗装で火災から建物を守るには下地処理が大事

新築以外の場合、既に外壁はさまざまな障害を抱えています。その上にいきなり外壁塗装をしても十分な効果は得られません。

例えば、汚れやカビその他を綺麗に除去したり適切な補修をするなど下地処理が大事です。

3. 外壁塗装で火災から建物を守るには施工が大事

下地処理とも関係しますが、しっかりした施工が大切です。

例えば、二度塗りをするとか、きちんと養生するとか、一般の方では気づきにくいかもしれませんが、業者によって施工はずいぶんと違います。きちんとした施工でなければ、後でボロが出てきてしまいます。

4. 防災に役立つ外壁塗装でコストを下げる

外装塗装は決して安いものではありません。しかし、防災に役立ち家や建物といった資源を大切に維持するという点で、持ち主ばかりでなく地域社会や地球にも優しい行為です。

そこで、昨今のサステナビリティ(社会と地球環境を維持していく動き)のトレンドに乗り、地方自治体などでは外装塗装に補助金を出す制度が広まっています。外壁塗装の補助金制度については別稿で述べますが、こうした制度をうまく活用すれば、防災に役立てつつ低コストで家を守ることができます。


外壁塗装は見た目だけではなく火災などの災害から家を守ります。

そのためには、しっかりした塗料、しっかりした下地処理、しっかりした施工が重要です。こうした防災に役立つ外装塗装には補助金が出ることも。しっかりした外装塗装で家やお財布だけでなく地域社会と地球環境も守りましょう。

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