一戸建ての塗り替えを検討する際、見積書に記載された「ケレン作業」という項目を見て、「これは本当に必要なのか?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
ケレン作業は、鉄部の塗装において最も重要な下地処理工程の一つです。
この作業を適切に行うかどうかで、塗装の仕上がりと耐久性が大きく変わります。
創業60余年、我孫子市で数多くの塗装工事を手がけてきた私たちくりはら塗装が、専門知識と豊富な経験をもとに、ケレン作業について徹底解説いたします。
ケレン作業とは? 語源と本来の目的
ケレン(素地調整)とは、塗装の前に行う下地処理作業のことです。
英語の「Clean(クリーン)」がなまって「ケレン」と呼ばれるようになったとされており、主に鉄部や金属部分に施される重要な工程です。
一戸建て住宅では、外壁材や屋根材が金属系でなくても、実は多くの箇所に鉄を含む金属製の部材が使用されています
- 窓周りの金属製建具
- シャッターを収納する箱部分
- 金属製の雨樋や金具
- 屋根の妻側に取り付けられる板
- スレート屋根の頂上部分を覆う金属板
- 外壁と基礎の境目に設置される金属部材
- 外壁に設置された換気口の金属カバー
- 敷地境界の金属製構造物
これらの鉄部は空気中の水分や雨水にさらされると徐々に劣化し、さびが発生します。ケレン作業は、このさびや古い塗膜を除去し、新しい塗料がしっかりと密着するための下地を整える役割を担っています。
ケレンには1種から4種までの作業グレードがあり、劣化状況に応じて適切な方法が選択されます(参照:日本ペイント)。
なぜケレン作業が必要なのか? 3つの重要な理由
1. 塗料の密着性を高め、早期剥離を防ぐ
鉄部に古い塗膜やさびが残ったまま新しい塗料を塗ると、塗膜が下地に密着せず、数年で剥がれてしまうリスクが高まります。
適切なケレン作業により、表面に微細な凹凸(アンカーパターン)が形成され、塗料の機械的密着力が向上します。
外壁塗装のトラブル事例を調査すると、塗装後早期に塗膜が剥がれる原因の多くは、ケレン不足による下地処理不良であることが分かっています。
特に雨戸やシャッターボックスなど、日常的に開閉する部分では、密着性が不十分だと塗膜がすぐに剥がれてしまいます。
2. さびの進行を止め、さび移りを防止する
塗膜の内側にさびが残っていると、そこから腐食が広がり続けます。
また、雨水でさびが流れ出すことで、外壁やコンクリート部分に茶色いさび汚れが付着する「さび移り」が発生することもあります。
一度付着したさび汚れは簡単には落とせず、建物の美観を大きく損ないます。
丁寧なケレン作業でさびを徹底的に除去することで、こうした二次被害を未然に防ぐことができます。
3. 塗膜の寿命を延ばし、コストパフォーマンスを高める
適切なケレン作業を行うことで、塗装の耐久年数が大幅に向上します。
ケレンをしっかり行った場合と省略した場合では、塗装の寿命に2倍以上の差が出ることも珍しくありません。
初期費用を抑えるためにケレン作業を省略すると、結果的に数年後に再塗装が必要になり、長期的には大きな出費につながります。
専門業者として、私たちは長期的視点でのコストパフォーマンスを重視しています。
ケレン作業の種類:1種~4種の違いと適用場面
ケレン作業は、日本産業規格(JIS)やISO規格に基づき、作業方法とさびの除去レベルによって1種から4種まで分類されています。
1種ケレン(ブラスト工法)
最も徹底的なさび除去方法で、研削材を高速で吹き付けて黒皮(ミルスケール)、赤さび、旧塗膜を完全に除去し、清浄な金属面を露出させます。
- 大型鉄骨構造物、橋梁、工場設備など
- 3,000~4,000円/㎡
- ほとんどなし(大規模な腐食がある場合を除く)
2種ケレン(電動工具使用)
ディスクサンダーやワイヤーブラシなどの電動工具を使用して、さびと旧塗膜の大部分を除去します。完全除去は難しいものの、鋼面を露出させることができます。
- 明らかなさびが広範囲に発生している鉄部
- 1,500~2,000円/㎡
- 重度のさびが発生した雨戸、棟板金などに稀に使用
3種ケレン(手工具+電動工具の併用)
一戸建て住宅で最も一般的に使用される方法です。赤さびと劣化した塗膜(死膜)を除去しますが、健全な保護機能を持つ旧塗膜(活膜)は残します。
- 部分的にさびが発生している鉄部
- 600~1,200円/㎡
- ディスクサンダー、ワイヤーブラシ、スクレーパー、サンドペーパーなど
- さびた雨戸、シャッターボックス、棟板金、水切り板金など
4種ケレン(手作業による軽度な処理)
さびの発生がほとんどなく、表面の汚れや白亜化(チョーキング)を除去する軽度な作業です。塗料の密着性を高めるため、表面に細かい傷をつける「目荒し(目粗し)」も行います。
- 劣化が軽微な鉄部、新しい金属部材
- 200~500円/㎡
- サンドペーパー、ワイヤーブラシ、皮すきなど
- 状態の良い雨戸、新しい金属部材の塗装前処理
私たちくりはら塗装では、現場調査の際に鉄部の劣化状況を詳しく確認し、各箇所に最適なケレン種別を選定しています。
ケレン作業に使用する道具と工具
手作業用の基本工具
- 粗さ(番手)が異なるものを使い分け、細かい部分のさび落としや表面の平滑化に使用します。
- 金属製のブラシで、手動でさびや塗膜を剥がします。狭い場所や細部の作業に適しています。
- 浮いた塗膜や厚く堆積したさびを削り取る金属製の工具です。
電動工具
- 回転する研磨ディスクで効率的にさびや旧塗膜を除去します。広い面積の3種ケレンに不可欠です。
- 電動でワイヤーブラシを回転させ、手作業より効率的にさびを落とします。
これらの工具を適切に使い分けることで、効率的かつ丁寧な下地処理が可能になります。
ケレン作業を含む鉄部塗装の施工手順
鉄部塗装は、以下の工程で進めていきます。
工程1:高圧洗浄で下地を洗浄
まず高圧の水で鉄部に付着している汚れ、油分、古い塗膜の浮いた部分を洗い流します。
洗浄後は十分に乾燥させることが重要で、通常は数日間の乾燥期間を設けます。
水分が残った状態で塗装すると、塗膜内部に水分が閉じ込められ、膨れや剥がれの原因になります。
工程2:ケレン作業
高圧洗浄で落としきれなかったさびや劣化した塗膜を、手工具や電動工具を使って徹底的に除去します。この工程の丁寧さが仕上がりを左右します。
くりはら塗装では、塗装歴50年以上のベテラン職人が、細部まで目を配りながらケレン作業を行っています。
特に雨戸のギザギザ部分やシャッターボックスの内側など、見落としがちな箇所も丁寧に処理します。
工程3:さび止め塗装(下塗り)
ケレン作業で清浄になった鉄部に、さび止め塗料を塗布します。
さび止め塗料は金属の腐食を防ぐ効果のある専用塗料で、大きく分けて以下の種類があります。
- 一般的な環境下で使用される標準的なさび止め
- 比較的安価で作業性が良い
- 1種と2種があり、1種の方が防錆性能が高い
- 速乾性に優れ、作業効率が高い
- 防錆性能と密着性のバランスが良い
- 一戸建て住宅で最も多く使用される
- 密着性と防錆性能に最も優れる
- 二液型で取り扱いには専門知識が必要
- 厳しい環境下や重要箇所に使用
私たちは、鉄部の箇所や環境条件に応じて最適なさび止め塗料を選定しています。
工程4:中塗り・上塗り
さび止めがしっかり乾燥したら、仕上げの塗料を原則として2回塗りします(中塗り+上塗り)。こ
れにより十分な塗膜厚が確保され、長期的な保護性能が発揮されます。
仕上げ塗料には、耐候性の高いウレタン塗料やシリコン塗料が使用されることが多く、色も外壁との調和を考えて選定します。
ケレン作業を依頼する際の注意点とチェックポイント
見積書でケレン作業の有無を確認
優良な塗装業者の見積書には、必ずケレン作業の項目が記載されています。
もし見積書に「ケレン」「素地調整」「下地処理」などの記載がない場合は、必ず業者に確認しましょう。
確認すべきポイント
極端に安い見積もりには注意
ケレン作業は手間と時間がかかる工程です。相場より極端に安い見積もりは、ケレン作業が省略されている可能性があります。
一般的な一戸建て住宅の場合、鉄部のケレン作業費用は以下が目安です。
施工中の写真報告を依頼
ケレン作業の品質は仕上がりに大きく影響しますが、塗装後は確認できません。
施工中の写真を記録してもらい、作業報告書として提出してもらうことをお勧めします。
くりはら塗装では、全工程の施工写真を撮影し、お客様に詳細な報告書を提出しています。
透明性の高い施工プロセスは、お客様との信頼関係を築く上で欠かせないと考えています。
ケレン作業でよくある質問
Q1 ケレン作業はDIYでできますか?
A 軽度なさび(4種ケレン相当)であれば、DIYも可能です。
ただし、広範囲のさびや重度の劣化には専門的な知識と工具が必要です。
また、適切なさび止め塗料の選定や塗装技術も必要なため、専門業者への依頼をお勧めします。
Q2 ケレン作業にはどれくらい時間がかかりますか?
A 鉄部の面積や劣化状況によりますが、一般的な一戸建て住宅(雨戸、シャッターボックス、棟板金など)で半日~1日程度が目安です。
Q3 さびがひどい場合、ケレンだけで対応できますか?
A 腐食が進んで穴が開いている場合や、構造的強度が失われている場合は、ケレンだけでは対応できません。
その場合は部材の交換が必要になることもあります。
まとめ:ケレン作業は塗装の成否を決める重要工程
今回ご紹介したように、ケレン作業は仕上がりと耐久性を左右する非常に重要な工程です。
一見地味な作業ですが、この工程を丁寧に行うかどうかで、塗装の寿命は大きく変わります。
塗装業者に依頼する際には、以下の点を確認しましょう。
- 見積書にケレン作業が明記されているか
- ケレンの種類(3種・4種など)が適切に選定されているか
- 施工箇所と費用が明確か
- 施工写真などの報告体制があるか
創業60余年、我孫子市で培ってきた信頼と実績を持つくりはら塗装では、ケレン作業を含む鉄部の塗装工事の豊富な経験と確かな技術がございます。
塗装歴50年以上のベテラン職人と、細部までこだわる若手職人が、一つひとつの工程を丁寧に施工いたします。
一戸建ての外壁塗装や屋根塗装をご検討の際は、ぜひ私たちくりはら塗装にご相談ください。
現地調査から詳細なお見積もり、施工報告まで、お客様の立場に立った誠実な対応をお約束いたします。

