2023.06.12

甲乙丙で取り扱える危険物の種類が違う危険物取扱者とは? 

 

屋根・外壁塗装工事ではもちろん技術や経験がとても大切ですが、さまざまな「資格」も所有していると、仕事をするうえで有用な場合があります。

今回は、建築塗装を含めたさまざまな分野で活躍する「危険物取扱者」という資格をご紹介します。

塗装業も取得したい危険物取扱者ってどんな資格?

危険物取扱者は消防法に基づく国家資格です。

火災や爆発の恐れがある危険物は、その危険度や性質によって第1類から第6類までに分類されており、それらの貯蔵・運搬・取り扱いを安全に行うために危険物取扱者の資格が必要になります。

そもそも「危険物」とは?

そもそも「危険物」とは?

資格の名称にも含まれている「危険物」とは、引火や爆発の危険性があり、万が一火災になってしまった時に消火が困難になる物質を指し、ガソリン、灯油、有機溶剤、金属粉などが危険物に含まれます。
危険物取扱者はそのような危険物の取り扱いや保管、点検などを安全に執り行うための大切な資格です。

危険物の危険度ごとに「指定数量」というものが設定されていて、それを超える量の危険物を保管する場合には「危険物取扱者」の資格が必要です。

例えば、屋根・外壁用塗料に使用される「第4類」に属する「第二石油類(非水溶性)」であれば、指定数量である1000リットルを超える量を保管する場合には、危険物取扱者が必要になります。
家庭に普通に置いてあるオリーブオイルや米油などの身近な日用品も、もし10000リットルを超えて保管する場合は「危険物」として取り扱われます。

そして、この資格は大きく分けて「甲種」「乙種」「丙種」の3種類があります。

甲種危険物取扱者

甲種危険物取扱者の資格があれば、すべての危険物の取り扱いや立会いを行うことが可能になります。

甲種を受験するためには、

     実務経験が2年以上ある

     大学で化学に関する学科を卒業している

     下記の「乙種危険物取扱者」の6類のうち指定される4種類の免状を持っている

などのうち、いずれかの条件を満たしていなければなりません。

乙種危険物取扱者

特別な受験資格はなく、誰でも受験できます。

1類から6類まで設けられた危険物の分類に応じて、資格試験も6つに分けられています。

第1類
塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類、臭素酸塩類、硝酸塩類、よう素酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類などの酸化性固体
第2類
硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体などの可燃性固体
第3類
カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りんなどの自然発火性物質及び禁水性物質
第4類
ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類などの引火性液体
第5類
有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンなどの自己反応性物質
第6類
過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物などの酸化性液体

建築塗装業には、特に乙種危険物取扱者のうち「4類(引火性液体)」が関係しています。
塗装業で取り扱う溶剤系塗料は危険物にあたる第2石油類に分類され、その指定数量である1000リットル以上を一度に保管するならこの乙種四類が必要です。
溶剤系塗料1000リットルは数量でいうとおよそ80缶程度になります。

くりはら塗装にはこの「乙種4類」の資格を持つスタッフが在籍しています。

実は毎年行われる各種危険物取扱者の資格試験の中で、「乙種」の受験者は全体の受験者の約80%にのぼり、その中でも特に第4類の受験者が群を抜いて多くなっています。
上の表を眺めていると、馴染みのない名称が並ぶ1〜6類の危険物のうち、4類だけは、私たちの身近なところにある物の名称が並んでいるのがわかります。
このように、「危険物取扱者 乙種 4類」、通称「乙4(おつよん)」は、私たちのよく知る物の管理に深く関わる資格ですので、危険物取扱者の中でも最も高い人気があるのです。

丙種危険物取扱者

特別な受験資格はなく、誰でも受験できます。

「4類」に該当する危険物の中で、ガソリン・軽油・重油など限定された危険物を取り扱うことのできる資格です。

上の甲種・乙種の危険物取扱者は、自らが保有している資格に応じた危険物の取り扱いに立ち会う形で、無資格者が危険物を取り扱うのを監督することも可能ですが、丙種危険物取扱者には、立ち会いの権限はありません。

責任重大!危険物取扱者の心得

危険物取扱には、危険物の何がどのように危険なのか、トラブルが発生しないようにはどうすべきか、万が一火災が発生した時にはどう対処すべきかなど、物理や化学に基づいた正確な知識が必要です。
もし火災が発生し、適切に食い止められなければ物的・人的に大きな損害が生じてしまうということを自覚する、責任感の強さが求められます。

どんな職業で危険物取扱者が活躍しているか

●ガソリンスタンド

ガソリンスタンド

危険物取扱者の資格が必要な仕事といえば、真っ先にガソリンスタンドの店員が思い浮かぶかもしれません。
その危険性を誰もが知っているガソリンを日々大量に取り扱うのですから、有資格者がいなければならないのもうなずけます。

最近はセルフ方式のガソリンスタンドも増えていますが、実はセルフスタンドでは無資格のお客さんが給油しても問題が起きないように、危険物取扱者が遠隔で監視しているのです。
またセルフスタンドでは、有資格者が給油を行う場合よりも給油スピードが遅くなるよう、ガソリンの吐出量が調整されています。

●消防士

消防士

危険物取扱者は、危険物が火災などの事故につながらないように保守・管理するというのが主な役割ですが、万が一トラブルが発生した時にどう対応するかも熟知していなければなりません。
それで、消防士の仕事にも、各種危険物がなぜ・どのように燃焼するか・燃焼する危険物をどう消化すべきかを理解する危険物取扱者の資格は役に立ちます。

危険物取扱者の試験内容・難易度は?

危険物取扱者の合格率は甲乙丙それぞれの等級で

  • 甲種危険物取扱者・・・約32%
  • 乙種危険物取扱者(4類以外平均)・・・約67%
  • 乙種危険物取扱者(4類)・・・約29%
  • 丙種危険物取扱者・・・約49%
    • となっています。

      危険物取扱者の試験時間は、

      • 甲種危険物取扱者・・・150分
      • 乙種危険物取扱者・・・120分
      • 丙種危険物取扱者・・・75分

      となっており、5肢拓一のマークシート方式で出題されます。

      出題内容は、

      • 危険物に関する法令
      • 危険物の性質と火災の予防方法・消化方法
      • 危険物に関する化学や物理

      などが主なテーマになります。
      物理や科学といっても、大学レベルの高難易度の出題は多くなく、試験は正答率が60%を超えていれば合格となりますので、あまり身構える必要はないでしょう。

      危険物取扱者の資格試験には実技試験はありませんので、合格のためには学科試験に週中して、ただただ勉強あるのみです。
      危険物取扱者はかなりメジャーな資格で受験者数も多く、試験勉強のための教本や参考書、通信講座なども多数そろっているため、比較的勉強しやすい資格だといえるでしょう。

      合格率の低い「乙種4類」は難易度が高い?

      合格率の低さを見ると、「乙種4類は乙種の他の試験よりも難しそう」と思ってしまうかもしれませんが、実はそんなことはありません。

      乙種危険物は1類から6類までのうち、複数の取得を目指す受験者の多い資格ですが、乙種の資格のうち一つに合格していれば、乙種の別の資格試験を受験する際に、受験の一部免除が受けられます。

      それで、乙種のうち複数の資格取得を目指す人は、まずはもっとも人気のある4類の合格を目指す傾向にあります。

      乙種のうち4類以外の資格試験は、すでに4類に合格した人が免除制度を利用して受験するため合格率は高く、最初に受験される4類は合格率が低くなっているようです。

      つまり、4類は他の試験に比べて特に難易度が高いというわけではありません。

      特別な勉強法も必要なく、数日間~数週間でも過去問題や参考書などを集中的に勉強すれば合格を目指せる資格なので、ぜひ人気が高く有用な「乙種4類」にチャレンジしてみてください。

      資格取得後も講習を受けたり更新したりすることが必要

      危険物取扱者に合格したのち、実際に危険物取り扱い業務に従事し続けるためには、「危険物取扱者保安講習」を3年ごとに(新たに従事する場合は業務開始から1年後)受講する義務があります。

      また、危険物取扱者試験の合格者には免状が発行されますが、この免状は自動車運転免許のように顔写真と本籍地が記載されています。

      顔写真は10年以内に撮影したものでなければならないため、少なくとも10年に一回は免状の書き換えを行う必要がありますし、住所が変わった際にもその都度、免状を書き換える必要があります。

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