2022.08.5

シーリングとの違いは?外壁を長持ちさせるコーキングとは?

外壁塗装工事の工程には塗装以外にも「付帯工事」と言われる足場の設置や洗浄などのさまざまな工事が含まれています。それらの付帯工事に必ず含まれているのが「コーキング」工事です。

今回はコーキングとはどんな部分なのか、コーキング工事では何が行われるかなどをご紹介します。

コーキングとは?シーリングと何が違うの?

建築におけるコーキングとは、建物の隙間を埋めて建物の防水性・気密性を高める充填する作業のことで、その際に使われる樹脂製の素材のことを「コーキング材」といいます。
コーキングはボンドのようなペースト状で容器に充填されていて、コーキングガンという専用の道具で押し出しながら外壁の目地やサッシ周りのスキマなど埋めていきます。この作業を「コーキングを打つ」と言い、打った後にコーキングがしっかりと硬化すれば作業は終了です。

コーキングはなぜか様々な名称があります。
たとえば、「シーリング」「シーラント」「シール」「コーク」など、現場で作業する職人や製造業者の間でもさまざまな名称が使われ、あまり統一されていません。

コーキングとシーリングの違いは?

コーキング以外で特によく使われるのは「シーリング」という言葉ですが、実はコーキングとシーリングの違いは特にありません。少なくとも建築の分野では全く同じものと考えてもなにも問題ないでしょう。

ちなみに、国土交通省が監修する「公共建築工事標準仕様書」では防水工事に使用するものを「シーリング」と表記しているので、シーリングという名称の方がやや公式な感じがするかもしれません。

外壁に使用されるコーキングはひび割れを埋め、雨漏りを防ぐ

コーキング(シーリングとも呼ばれる)とは、パネル状の建材の目地部分や、経年劣化や地震のダメージなどで発生することのあるひび割れに充填して隙間を埋め、水や湿気の侵入を防ぐ素材のことです。

建物の気密性や防水性を保つのに不可欠なコーキングは建物の内装・外装どちらにも使われ、外壁ではサイディング材同士の継ぎ目やサイディングと窓サッシの隙間、また外壁材に開けた配管用の孔の隙間などに、内装ではキッチンシンクや洗面台など水回りに使用されています。

コーキング材は外壁材より劣化が早い

コーキング材は主にシリコンウレタンなどの樹脂でできており、容器に入っている間はボンドのような半液体ですが、所定の場所に充填され、空気に触れて乾燥するとゴムのような弾力のある固体となります。

固体となったコーキングは隙間から外壁の内側へ湿気や雨水などが侵入するのを防ぎますが、コーキングは常に紫外線や外壁材の伸縮・振動からくるダメージにさらされるため、5〜10年ほどで劣化してしまいます。

劣化したコーキングには細かなひび割れが発生したり、縮んで外壁材の隙間が露出したりするようになり、コーキングの劣化状態を放置しておくと隙間から湿気や雨水が外壁の内部に侵入し、壁の内側にある土台・柱などに腐食やカビが発生しやすくなるため、なるべく早く補修することが必要です。

打ち替えと増し打ち、コーキング工事の違い

外壁のコーキングが劣化している場合は

  • 古いコーキング材を撤去せず上からコーキング材をかぶせる「増し打ち」
  • 古いコーキング材を撤去して新しくコーキング材を充填する「打ち替え」

の二種類の補修方法があります。

コーキング材の劣化が軽度であれば増し打ちで十分な場合もありますが、コーキング材の劣化がひどい場合やサイディング材の厚さが薄く(15mm未満)、新しくかぶせるコーキング材が十分な厚みを確保できない場合などは打ち替え工事がおすすめです。

シリコン系、変成シリコン系などシーリング材の種類

シーリング材はかなりこまかく分類できます。特に「シーリングが硬化するしくみ」と「シーリングの主成分」でどのように分類されているかが分かれば、シーリングの種類ごとの特徴が理解できると思います。

シーリング材の硬化するしくみ

シーリングは「どのように硬化するか」で下記のように2種類に分類されます。

  • 空気などに触れると硬化が始まる「1成分形」
  • 基剤に硬化剤を混ぜると硬化が始まる「2成分形」

さらに、「1成分形」は

  • 空気中の水分と反応して硬化する「湿気硬化型」
  • 水分や溶剤が蒸発して硬化する「乾燥硬化型」
  • 空気に触れた部分は膜のように硬化するが内側は固まらない「非硬化型」

に分けられます。

「1成分形」はコストがやや高くなりますが安定した品質を保てます。
「2成分形」はコストが安くなるものの、基剤と硬化剤をしっかり攪拌して混ぜ合わせないと耐久性が下がって施工不良がおこってしまうというデメリットがあります。
ただし、2成分形は硬化が天候に左右されないので冬場に利用されることが多いですね。
正しく施行されれば1成分形と2成分形に耐久性の優劣はほとんどありません。

シーリング材の主成分

シーリング材は主成分が何かによって性能と用途が異なります。シーリング材の代表的なタイプを特徴ごとにご紹介しましょう。

シリコン系

  • 耐熱性・耐水性・耐候性に優れている
  • 上から塗装できない
  • 汚れが付着しやすい
  • 周囲にシミのような汚れが広がることがある

このような特徴から、シリコン系は外壁塗装よりはむしろ内装の水回りでよく利用されます。

変成シリコン系

  • 耐候性が良好
  • 上から塗装しやすい
  • 周囲に汚れが染み出しにくい「ノンブリードタイプ」がある

変成シリコン系シーリングはいわばシリコン系の弱点を克服したシーリングで、外壁まわりや板金工事によく活用されます。

ポリサルファイド系

  • 耐候性・耐熱性に優れている
  • 表面に汚れが付着しにくい
  • 耐油性も良好
  • コストは高くなる

ポリサルファイド系シーリングは、耐久性が優れていて戸建て住宅から大型建築まで、さまざまな規模の建物の様々な場所に使用されます。

コーキングの費用は?一般的な相場を紹介

外壁のコーキング工事の1メートルあたりの費用相場の目安は

  • 増し打ち工事:500〜900円/m
  • 打ち替え工事:700〜1200円/m

となっています。

建坪15坪で総2階建ての戸建住宅でコーキングの全長は200m前後と仮定し、大まかな工事金額を試算すると

  • 増し打ち工事は10万〜18万円
  • 打ち替え工事は14万〜24万円

程度となります。
※コーキングの全長には家屋ごとに開きがありますのであくまで目安とお考えください。

ただし、高所作業を含むコーキング工事は単体で行われる場合にも架設足場を設置して工事する必要がありますので、建坪15坪の総二階建て住宅であれば仮設足場の設置費用として別途15万〜20万ほど(※家屋の広さや形状によって異なります)の料金が加算されることを計算に入れなければなりません。

つまり、一度仮設足場を設置する工事を行うなら外壁や屋根周りのメンテナンス工事一式を同時に済ませてしまえば、足場を何度も設置しなくてよいため費用の節約になります。

また、業者によっては施主が契約しやすいように見積もり金額を安くするため、打ち換え工事が必要でも増し打ちで済ませることを勧める場合もあるようです。

しかし判断を間違えば増し打ち工事後もコーキングはすぐに劣化してしまい、何度もコーキング工事を繰り返さなければならなくなるケースもあります。

コーキング工事を検討する際には、短期的な費用だけでなく工事後の耐用年数やその他のメンテナンス工事まで視野に入れたアドバイスをしてくれる優良な塗装・防水工事業者に相談するようにしましょう。

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